
癲癇という病気は、古代文字が発明されたころから発作の様子が記録されている最も古い病気の一つといわれる。5000年の長い歴史にもかかわらず、この病気が正しく認識されるようになったのは最近100年あまりにすぎない。 癲癇とは脳の中の神経細胞に一過程の興奮の嵐(過度の放電)が起きて、そのために発作が起こる病気である。このような過度の放電は、脳の一部だけにとどまる場合もあれば、脳全体に広がる場合もあり、突然に脳全体で発生することもある。脳のどの部分でどの程度の放電があったかによって、癲癇の型が決められる。原因としては脳が傷ついたことによるものが多いが、なかにははっきりとした原因がわからないこともある。
癲癇の基本的な症状は、短時間の行動異常で、発作とか痙攣と呼ばれているものであり、何度も繰り返し症状が現れてはじめて癲癇と呼ばれる。発作にはいろいろなタイプがあるが、小発作、大発作と呼ばれるものが多いようである。小発作は思春期以前の子供の症状で、何かをやりかけたまま突然何秒かぼんやりと目を見開いたまま動作を中断し、周囲に反応しなくなるというものであり、痙攣は起こさない。一方、大発作は突然意識を失ってその場に倒れ、全身は突っ張り硬くなり激しい痙攣のために体がガクガクするというものである。
癲癇の診断をするには発作症状の分析とそれに伴う脳波の異常を得なければならないが、最近は発作の症状をビデオで記録し、脳波も一緒に記録して細かく調べられるようになった。また癲癇の原因が脳損傷や感染症にあるのかどうかを調べるのに、頭のX線写真、血液検査、CTスキャンが用いられている。癲癇は治療ができる脳の損傷や腫瘍、あるいは感染症が原因で起こる場合を除いて治癒しない。しかし規則的に抗痙攣剤を服用すれば発作を防ぐことはでき、癲癇患者は薬で発作をコントロールしながら普通の生活を送っている。新しい薬も次々と開発されており、飲んだ薬の効果が血液の検査によってきめ細かく経過を追うことができるようにもなってきた。 こうした診断や治療の進歩によって、従来の癲癇に対する偏見や迷信は取り除かれ、癲癇患者が社会の中で正当な認識と扱いを得るようになったことは大きな進歩であるといえるだろう。
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